この映画は・・・4
デッドゾーン
いつもならグロい肉体変化を伴う特殊能力が精神面に限定されている点、歪んだ性愛の形を取っていた登場人物の情念が響屈した純愛に描かれている点において、『デッドゾーン』は「彼女と観てもOKな泣ける映画」になり得た。
これは原作者スティーブン・キングの持ち味と、クローネンバーグの興味が局所的に一致したために起こった僥倖で、クローネンバーグには特別なことをした自覚はなにひとつないものと思われる。
その証拠に、彼は近作『クラッシュ』や『イグジステンズ』で、相変わらず変態エログロ趣味を炸裂させています。
天才と変態は紙一重で、傑作は、えてして天才の無自覚な部分から生み出されるといったところか。
天才や変態にはなろうと思ってもなれないが、「狙ってやれることなどタカが知れている」と、そのフィルモグラフィをもって世に表しているクローネンバーグは、あらゆる作り手にとって踏み絵的な存在。
変態バカ一代を貫く彼が、次にどんな弾みで傑作を生み出すのか期待して待とう。