この映画は・・・3
デッドゾーン
本物の殺人が延々くり返されるビデオを観ているうちに幻覚に侵され、ついには肉体と機械の融合が始まる『ビデオドローム』。
物質電送機に紛れ込んだ蝿と融合してしまった科学者が、次第にモンスター化してゆくさまを露悪趣味たっぷりに描いた『ザ・フライ』などなど。
粗筋を聞いただけでもその偏りっぷり、病気っぷりがよくおわかりいただけると思う。
デートで観ることはもちろん、観たという事実をおおっぴらに口外することさえ琿られるという意味では、バーホーベン以上に「やましい感じ」が絶えずつきまとう監督、それがクローネンバーグなのだ。
が、本作ばかりはちと違う。
交通事故で五年間もの昏睡状態に陥り、目覚めた時には千里眼能力を獲得していた主人公。
仕事も恋人も失った彼は、手を触れただけで人の過去と未来を見通すその力を使って人助けをしようとするが、周囲は次第に彼を恐れ、疎んじるようになる。
孤独感を深めてゆく主人公だが、ある時、そのまま放っておけば世界全体に破滅を招来する人物と出会ってしまう。
確定していない未来=デッドゾーンに「縷の望みを託し、彼が選択した最後の手段とは・・・。
おお、まとも!と思わず叫びたくなるが、「異常能力を獲得した人間の悲哀と孤独」というクローネンバーグ節は本作でも健在でした。